土壌汚染のメカニズム

  • TOP
  • 土壌汚染のメカニズム

汚染物質の特性について

イズミ環境サービスでは、さまざまな土壌汚染調査およびその対策工事を自社一貫対応で行っています。こちらのページでは、土壌汚染がどのようにして発生するのか、そのメカニズムについてご説明します。

第一種特定有害物質による土壌汚染

第一種特定有害物質は「揮発性有機化合物」とも呼ばれ、常温常圧で容易に揮発する物質です。英語表記(Volatile Organic Compounds)の頭文字をとって「VOC」と略され、1970年代初頭から電機工場や半導体工場での洗浄剤、農薬などとして大量に使用されています。当初は規制する法律がなかったため漏洩や廃棄が多発し、現在の土壌・地下水汚染へとつながっています。

物質名 主な用途
四塩化炭素 化学合成中間体、試験溶媒
1,2−ジクロロエタン 塩ビモノマー原料、金属部品洗浄剤
1,1−ジクロロエチレン 塩化ビニリデン原料
1,2−ジクロロエチレン トリクロロエチレンの分解生成物
1,3−ジクロロプロペン 農薬(土壌燻製剤、殺線虫剤)
ジクロロメタン 金属部品洗浄剤、抽出溶媒、ペイント剥離剤
テトラクロロエチレン 金属部品洗浄剤、ドライクリーニング溶剤
1,1,1−トリクロロエタン 金属部品洗浄剤、エアゾール
1,1,2−トリクロロエタン 溶剤、塩化ビニリデン原料
トリクロロエチレン 金属部品洗浄剤、溶媒、化学合成中間体
ベンゼン 化学合成原料・中間体、各種溶剤、染料、ガソリン
第一種特定有害物質の主な特徴

第一種特定有害物質は、微生物分解などにより他の有害物質へと変化します。「粘性が低く、比重が高い」という特徴があるため、土壌深部や地下水などに到達しやすく、広範囲へと汚染が広がっていきます。

第二種特定有害物質による土壌汚染

第二種特定有害物質に分類されているのは、金属、および土壌中での挙動が金属と類似した物質です。「砒素(ヒ素)」「六価クロム」「カドミウム」など、大きな公害を引き起こした物質を含んでいます。

物質名 主な用途
カドミウムおよびその化合物 鍍金(メッキ)、塗料、合金材料
六価クロム化合物 合金材料、皮なめし、塗料、鍍金、研磨剤
シアン化合物 鍍金、精錬、化学合成原料、浸炭剤
水銀およびその化合物 蛍光灯、温度計、電解、触媒
アルキル水銀 農薬・医薬品原料
セレンおよびその化合物 整流器、半導体原料、窯業材料、顔料
鉛およびその化合物 電池、塗料、防錆剤、レンズ、窯業材料、金属製品
砒素およびその化合物 農薬・医薬品原料、木材防腐剤、半導体原料、ガラス
ふっ素およびその化合物 ガラス、精錬、電気工業材料
ほう素およびその化合物 ガラス、琺瑯(ホーロー)、鍍金、研磨剤、医薬品、防火剤

上記の物質は自然界に存在するものも多く、土壌汚染が自然由来であるケースがあります(主に鉛、砒素、水銀、ほう素、ふっ素、カドミウム、セレン、六価クロム)。汚染が人為的なものか自然由来かを判断するには、入念な調査が必要です。

第二種特定有害物質の主な特徴

第二種特定有害物質は土壌に吸着しやすく浸透性が低いため、比較的表層に近い場所で高濃度汚染を引き起こします。フッ素や六価クロムなど水に溶解しやすい物質もあるため、地下水汚染への注意も欠かせません。

第三種特定有害物質による土壌汚染

第三種特定有害物質は農薬をはじめとした比較的高分子量の有機化合物で、製造禁止となったPCBなどを含みます。

物質名 主な用途
シマジン 農薬(除草剤)
チオベンカルプ 農薬(除草剤)
チウラム 農薬(殺虫剤)、ゴム添加剤
ポリ塩化ビフェニル(PCB) 絶縁油、熱媒体、複写紙
有機燐化合物 農薬(殺虫剤)
第三種特定特定有害物質の主な特徴

第三種特定有害物質は土壌に吸着しやすく浸透性が低いという特徴を持ちます。そのため比較的浅い深度で高濃度汚染を引き起こします。また、紫外線による分解はされません。

油による土壌汚染

油による土壌汚染

油は油膜、油臭を発生させる汚染物質です。ガソリン・軽油、灯油や重油、機械油(潤滑油)などに分類されます。

油の主な特徴

ガソリンや軽油などの比重の小さい油は、地下水面まで到達したあと、それ以上浸透せずに地下水面付近へと拡散していきます。一方、重油をはじめとする比重の大きい油は垂直方向への浸透が強く、帯水層より深くにある難透水層に沿って拡散していきます。

ダイオキシン類による土壌汚染

ダイオキシン類は、合成物質としてはもっとも毒性が強いと言われている物質です。焼却炉などの炭素、水素、酸素、塩素が熱される環境において副産物として合成されます。

ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン 異性体数 75
毒性対象物質 7
ポリ塩化ジベンゾフラン 異性体数 135
毒性対象物質 10
コプラナーポリ塩化ビフェニル 異性体数 14
毒性対象物質 12
ダイオキシン類の特徴

ダイオキシン類は土壌に吸着しやすく、水に溶けにくいという性質を持っています。焼却炉などにおける煤煙を介して浅い深度で高濃度汚染するほか、焼却灰を埋め立てることで深い深度での高濃度汚染が発生するケースもあります。